2020年12月31日木曜日

2020この一年

 あまり外に出歩かず、ネットで本を猟渉する一年でしたが、市内のブ○クオフが1店閉店し、それ以外のところもどうしても売れ線以外の書籍は姿を消しています。なかなか厳しい時代になりましたが、古書販売でもネット化が進んでいるのでしょうね。

 

コミックスはほとんど買わなくなりましたが、今年予約して買ったのは 秋山あゆ子さんの改訂版 こんちゅう稼業です。秋山あゆ子さんは子供之友「くものす親分捕物帳」などほのぼのしたイメージがありますが、この一冊はしっとりと不可思議な世界觀の中でゆったりと遊ばせてもらえる一冊です。しかも、予約で自筆カット入り!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、嬉しいというか、ありがたい再発本としては 水俣病に関わる重要な一冊チッソは私であったをあげましょう。ずっと再販が望まれていたのですが、この度文庫化され、お求め安くなりました。 古書市場でも結構高音が付いていた一冊なので、これを機に一人でも多くの方に手にとっていただきたいです。


古書で嬉しかったのが、選ばれた島です。著者の青木恵哉氏は沖縄に最初のハンセン病療養所を作った方で、その自伝がこの本で、オリジナルは愛楽園開演20周年記念に関係者に配布されたもの。私が手に入れたものはその再版で、若干改訂されているようです。オリジナル版と改訂版の両方が収録されたリプリント版もあり、いつかそちらも読んで見たいと思います。

そして、今年からフリーペーパーやリトルプレスも少しずつ集めようかと思い立ちました。というのも、是恒さくら氏のありふれたくじらシリーズと出会ったからです。民俗学とも文化人類学とも少し違ったアプローチは新鮮でした。こうしたまだ見ぬ「新しい視点」との出会いはとても刺激的ですね〜。

 


 さて、来年はどんな本に出会えるか今から楽しみです。それでは皆さん、良いお年を!

2020年11月19日木曜日

はらぺこ…

さて、はらぺこあおむし をご存知か。

               そして、はらぺこクトルゥフむしをご存知か?

       星の光の下、沈むルルイエの古墓にて…

         で始まるこの物語。 

日曜日の朝、地下室から生まれたクトゥルフむしは

              狂信者や好事家やショゴス(!)やピックマンの絵を食べ

                               そして最後に…

 

という、もちろん「はらぺこあおむし」を下敷きにしたお話なのだけれど、


なんと、この背徳的な内容で、ちゃんと原著者の許諾を 受けているのだ(笑)

もっとも、出版社がつかず、最終的にはクラウドファンディングで出版にこぎつけたとか。そして、クラウドファンディングのリターンの残りがamazonで販売されていたのだ。

今でも常時amazonには古本があがっているので、気になる方はcheckit out!

↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

Very Hungry Cthulhupillar

 

2019年6月1日土曜日

モッコ 来たる!

 震災以降、沢山のアーティストが東北を題材に作品を製作し、パフォーマンスを披露している。その多くは出発点が3.11であり、まるで東北の時間が3.11で引き裂かれたかのような錯覚を覚える次第である。3.11とそれに伴う福島第一原子力発電所の爆発事故がスタートであれば、作品は鎮魂と復興に向かう他なく、東北の未来に収斂していくのは必然であり自然な事だし、それ自体は決して悪い事ではない。ある意味その典型といえるのが「サンチャイルド」の一件であろう。もちろん作者の制作意図を批判するつもりは毛頭無いし、私自身はそれを撤去する必要は無かったと思う。ただ、ヤノベケンジですら、原発事故と福島の未来というステロタイプのビジョンしか持てなかったことは、いささか残念ではあるが。

 さて、新聞で東京2020の関連事業としてモッコと呼ばれる巨大な操り人形が制作され、その雛形が東北絆まつりに展示される事を知り、写真を見てこれが東北の具現化であると直感した。モッコは特に北日本に行くと、子どもを捕る魑魅魍魎の意味をもつ。いいじゃないか。東北の闇の復権だ。キズだらけでぎこちなく、巨大。素晴らしいじゃないか。東北はすっと虐げられて来た。だがそれは東北が矮小で野卑である事を意味しない。東北は大きく、力強く、そして戦ってきた。東北は東北である事に意味がある。日本が近代化を目指し、中央の文化が日本を飲み込もうとしたときに、柳田國男は遠野物語を著し、南方熊楠は神社合祀に反対したのだ。地方には地方の文化がある、と。だから我々は東京五輪だからといって、トウキョウにおもねった優しく哀れで美しく我慢強い東北である必要はない。地方には地方の光りがあり、闇があるのだ。





盛り上がりを強制するかのような祭りの同調圧力を軽蔑し、列ぶことを極力忌避し、被災地を食い物にするモンキービジネスを嫌うわたしが、その真っただ中に身を投じたのはただ一つ、モッコを自分の目で見届けたかったからに他ならない。



 中央の価値観では測りきれない、大昔から遥か未来まで東北に流れる時間の中から生まれたものモッコは、そんな東北の象徴にみえた。それは、沢則行という感性が恐らくは北海道を含めた北の歴史と同調し、記憶を呼び覚まし、その魂に姿を与えたのだと思う。これは復興ではなく、復権である。そして今、僕は大きな声で叫びたい。


この巨偶をして、平地人を戦慄せしめよ!

2017年5月2日火曜日

あの顔で…


さて、80年代に「あの顔で SF書くか ホトトギス」と評された美貌のSF作家。現在であれば「幻想文学」と呼ばれるであろうその作品は、デビューがSFマガジンであったため「SF」と呼ばれ、処女作品集「夢の棲む街」は1978年にハヤカワJA文庫<JA107>として刊行された。(その後「夢の棲む街・遠近法」として1982年8月に三一書房から新装版で再版) 

夢の棲む街は、衝撃的だった。読んだ事の無い文体、 出会った事の無いイマジネーション。エキゾチックとも違う。ファンタジーとも違う。一気にハマってしまった。ところが、である。彼女は希代の?寡作であり、その作品集は長らく「夢の棲む街」と「仮面物語」(徳間書房)と「オットーと魔術師」(集英社)の3冊しか無かった。しかし、人知れずひっそりと刊行された1冊がある。一説には500部限定と聞いた事がある。それがこの本であるのだが。

 1982年 深夜叢書刊



これは歌集である。ほぼ、広告宣伝はなされなかったと記憶している。ではなぜ、私はこの本の刊行を知ったのだろう?う〜〜〜ん…当時田舎の高校生だった私が、なんでこんなマイナーな(失礼)本を入手できたのだろうか?

その答えは、実は薬師丸ひろ子にあった(笑)当時、角川映画を担っていた薬師丸ひろ子。角川書店が発行していた情報誌「バラエティ」には毎回特集が組まれた。あと、新井素子と吾妻ひでおの連載とかもあったぞ(笑)
そんな高校生うってつけの雑誌上で、俳句の企画があったと記憶している。登場するはなんとダーティペアで人気絶頂期の高千穂遙と山尾悠子!ハヤカワJA出身と言う意外なんの共通点も無いこの2人に俳句を詠ませるという謎企画。しかも、山尾悠子の俳句に対して「やっぱり短歌向きの人だ」って、いったなんなんだろう、この80年代的な感覚は!

とはいえ、 この企画において私は山尾悠子が短歌集を上梓した事を知り、駅前の本屋に注文に走ったのだ。多分そんな事だったと思う。それから、長らく本棚に入れず常に机の上におきっぱなしであり、日焼けさせてしまった……


それから幾星霜。さすがに寡作とはいえ、何冊かの作品集も出た。そして、今年のはじめにTwitterで、最近の朝日新聞の書評欄に、香山滋の短歌集と比較するようなかたちで「角砂糖の日」の書評が載っていた事を知る。なぜ、このタイミングで?その謎はすぐに解けた。

去年の暮れに再刊されていたのだ!!

うわぁ〜〜〜、しまったぁ! あわせて所々方々を探るも売り切れ品切れSoldout。とほほ。一生手にする事が出来ないのか…という悲しみに打ちひしがれ、気分も沈みがち。毎日毎日ネット巡回するも、 そう簡単に出物はない。なんせ今回は300部限定で、あるギャラリーがイベント的に再版しただけなので、増刷はもう無いだろう。

しかし、しかし、やっとヤフオクに出品されているのを知る。しめしめ。入札者は数名。価格は? 販売価格に若干の上乗せ程度。オリジナル版は密林のユーズドで50Kで瞬殺だったようなので、いかほどの値段がつくかと思ったが、まだこの程度か?それとも、嵐の前の静けさか?最終的に、もう一人の人とぎりぎりまで競り合い、そこそこの値段でゲット!いや〜、いままで購入した本の中で、専門書と洋書以外では、一番高かったかもしれない。



赤いクロス張りに箔押し。なかには合田佐和子ほか3名の挿画があって、著者のあとがきがあって、しかも掌編「小鳥たち」が挟み込みされている。


これで活版印刷なら言うことなしなんだけどなぁ(笑)とはいえ、またひとつ宝物が増えました!素敵な本をありがとうございます。

2016年11月4日金曜日

夏の思い出

ところで、この夏に西会津に行ってきた話はしたかな?


















西会津の廃校を利用した「国際芸術村」というところで「縄文土器」が展示されていると言うタレ込みをもとに、行ってきました。クソ暑かった夏の日に!


 なにか言いたげにも見える、的な?


















いわゆる、じょうもん的な?



















 めくるめく、的な?
















 



モロボシダイジロウ、的な?


  


















いろんな縄文土器が見れて、楽しかったぜ♪

2016年10月28日金曜日

愛書!

いやもう、半年ぶりでございます。しかし、誰も期待してみてないから気が楽だ(笑)

さて、一般に方にはあまり馴染みのない国立公文書館ですが、今回はこんな素敵な企画が! 題して「書物を愛する人々」でございます。汗牛充棟とか読書亡羊とか、本にまつわる諺もございますが。古今東西、愛書狂という人が居りまして、そんな人たちの話であるのかないのか?

どちらかというと場所柄カタいお話かと思われます。近現代はともかく前近代までは書物の収集といいますと、美術的価値とか資料的価値とかよりも、知の源泉という意味合いが強く、そのコレクションは〈実用書〉 意味合いが強かったのでしょうか?鉅宋広韻とか予章先生集とかいわれてもチンプンカンプンでございます。康煕字典ぐらいなら聞いたことはありますが。とほほ…

ともあれ、ただの収集癖ではなく「世の役に立てるために」収集され保管され活用された数々の書籍を見ながら、それを愛でてやまなかった人々の屈折した思い? に触れるのも、巷に軽薄が溢れかえる晩秋の一節としては、まことによろしいのではないでしょうか?

詳しくはこちらへ → 書物を愛する人々






2016年4月12日火曜日

溶けるほど!

生まれ変わったらメレ子さんの
旦那になりたい遠古堂です(笑)























メレ山メレ子さんについては
各自ググっていただければ情報が出ます。
雑な紹介ですいません(爆)

そんな(どんな?)メレ子さんが棺桶を作りました。
企画と言えば企画ですが、人生と言えばそれもまた人生。

 メメントモリ・ジャーニー


生前葬と言うことで、なにやらテツガクテキな匂いもしますし
メメント・モリですから、哲学的な匂いもしますが
写真の撮り方とか、淡々とした文章の感じからは
どちらかといえば藤原新也チックなものを感じます。

そんな棺桶プロジェクトですが、やはりネックになるのは予算…
そこで考え出されたのがクラウドファウンディングならぬ
クラウドご香典(笑)

メレ山メレ子の生前葬展 

 
これはもう、ポチットするほかないなぁ。
しかし、旦那になりたいとか書いておきながら
ほんの気持ちだけしか包めない自分が悲しい(爆)
吉田屋遠古堂で経費で落ちないかな…