2014年11月30日日曜日

まちかんてぃ

 ボクらが本を読めるのは、ボクらは学校で『国語』の授業を受けたからだ。そして、本を買うお金があって、図書館もあって、本を読む時間があるから。

 でも、かつてはそれが許されなかった人たちだっていたことを忘れちゃいけない。自由に本が読めなかった時代、自由に学ぶことが許されなかった時代。戦中戦後の混乱期に様々な理由から就学を断念し、断念させられ、義務教育を受けていない人たちだって、いるのだ。

そんな人たちに、10年前から学びの場を提供している場所が学校NPO珊瑚舎スコーレだ。 そしてこのたび、生徒たちからの聞き書きを1冊の本にまとめる試みがスタートした。それが聞き書き集「まちかんてぃ!(仮称)」である。記事によれば、書名の「まちかんてぃ!(仮称)」は2004年の第1期生が入学を祝う会の席で「いつか自分が通える学校ができると思い60年待ったよ。先生、『まちかんてぃ』してたよ。(待ち兼ねていたよ)」と笑顔いっぱいで話した生徒の言葉からもらいました。ということだ。 

沖縄戦で止まった学びの時計を動かし始めたおばぁ達の想いを本に!

以下、上記webからの転載です。

学ぶこと生きることの素晴らしさを多くの方に伝えたい!

沖縄が日本に併合されて150年近くが経ちます。その間、沖縄の人々は政治の波に翻弄されて来ました。とりわけ先の大戦で唯一地上戦が行われた沖縄は筆舌 に尽くしがたい凄惨な状況に陥りました。その時代にちょうど学齢期を迎えていた子供たちの過酷な現実とそれを乗り越え、それぞれの生活を精一杯生き、60 年以上経っても、なお学校で学ぶことを求める姿は「人間って素晴らしい!」を実感させてくれます。


聞き書きの一部を紹介します!

 お昼のラジオを聴いていたら戦争で学校に行けなかった人の学校があると言っているんです。エンピツが間に合わなくて電話もわからん、学校の名前もわ からん。その後もラジオを聴いていたけど、その1回しか放送しないわけ。そこで役所の救済をうける課に行って話をしたら、やっとここ(珊瑚舎)が与儀にあ ると分かった。
 
68歳まで無学できました。戦争で父は兵隊にいき、それっきりです。母は弾で死にました。兄弟がいたような気もするのですが記憶にないんです。まったく一 人でした。弾が飛び交う中、側にいる大人をお母さん、お父さんと呼んでくっつきまわって生き延びたんです。孤児院にも入れず10年近く7~8名の育ての親 というような人たちに引き回されました。今思えば、小さいながらも労働力としてあちこちをたらい回しにされたんです。名前もサチコ、ヨネコ、サチエ、とそ の親ごとに変えられ、自分の本当の名前を忘れそうでした。それでもいつか、だれかが学校に歩かせて(行かせて)くれるだろうと思い必死で働いたんです。で も、10歳のころ誰も学校にやってはくれないと分かったときは悔しいというか無念で首が横に曲がってしまうほどでした。

30年前ぐらい、どうしても学校に行きたくて役所に相談にいったら弁護士のような人がいて、自分で勉強しなさいと言われました。小学校にも入学していない のにアキサミヨー(とんでもない)と思ったけど、どうしようもないので本屋に入って初めて辞書というものを知りました。言葉でいっても通じないかもしれな いけど、無学ということは暗闇、真っ暗ということなんだよね。やるべきことは必死に努力してみんなやってきた。人間としてしそこなっているのは学校に行く ということだけなんです。もの心ついてから、そのことが苦しい。こんな哀れは残るんです。10歳から待っているんですから。


字をゆっくりでもいいからきれいに書くのが嬉しい。昨日理科で台風と温暖化について習った。漢字が難しいけどカナをふってあるから大丈夫。どの科目が好き か嫌いなんてない。みんな好き。どんなことがあっても引けない。ここの学校に来ないわけにはいかないんだよ。それだけ無学のままのこの60年間は真っ暗 だったんだ。

(2008年 K.T.さん 女性 談)



 彼らは学問への希望を失っていない。学ぶこととは何かをあらためて 考えさせられた。彼らを支援することも大切だけれど、ボクら自身が一生涯、希望を持って学ぶことはそれ以上に大切なことかもしれない。誰も二度と、彼らのような人生を歩むことがないように。

 そのために、ボクらは彼らの言葉に耳を傾け、彼らの言葉を伝えていかなければいけないのではないのだろうか?ぜひとも支援をお願いいたします。支援はカード決済による引換券の購入ですが2月11日(水)午後11:00にプロジェクトの目標金額に達していた場合のみ、決済手続きが行われます。目標金額に達さない場合は、決済は一切行われません。ということです。支援の詳細はこちらから

ところで、「珊瑚社スコーレ」ってゲッチョ先生こと盛口満先生も講師をしているところかな?

SF奇書天外!

さて、今日は本の紹介です。とはいえ、世の中の皆様のほとんどが一生のあいだにまずかかわることのない本です(笑)

 世の中に奇書・珍本と言われるものは数あれど、その多くはいわゆる〈B級〉であり、下世話なものも少なくありません。歴史的・文化的に重要な書籍は貴重書稀覯本とよばれ、まったく扱いが異なります(笑)
 しかし、 この奇書・珍本のたぐいにたまらない魅力を感じる人たちがいるのもまた然りで、近代のとくに空想科学小説(いわゆるSFね)や少年小説にはあの人がこんな荒唐無稽な小説を!?とか、いくらなんでもそこまで書くか?というものも少なくないようです。
 その道には横田順彌先生の〈日本SFこてん古典〉1〜3というそれこそ古典的名著がありますが、いかんせん 世に出回らないからこそ奇書・珍本なのであり、いまだその全貌は解明されておりません(笑)

 しかし、数多い古書コレクターのなかでもそっち(笑)に軸足をおいて活躍しておられる方もおいでになり、今日紹介する北原尚彦さんはその筆頭とも言えるでしょう!そして、今回ご紹介するのはそのものズバリ!

〈SF奇書天外〉














では、東京創元社のHPから引用してみます。

戦後のSF史・古書史に燦然と輝く(あるいは、ほとんど知られることのなかった)綺羅星のごとき奇書、珍本。マニアたちのあいだで密かに語り伝えられる、 奇妙奇天烈、摩訶不思議な小説を読みに読んだ、その道の第一人者が網羅して紹介する。ポルノSFから自費出版書籍まで、カラーを含む図版300点近くを収 録。すべてのSFファン・古書ファンに贈る必携の1冊。
ふむふむ。 
>では、同じく目次の一部を

一九四〇年代後半~五〇年代
 コレクター垂涎の『醗酵人間』
 あっと驚く翻案童話『龍宮城』
 エーテルの風が吹く『科学童話 電気の国をゆく』
 親類が書いた(?)『空とぶ怪艇』
 怪しい奇想短篇集『魂の飛ぶ男』
 遂に巡り会った『宇宙探偵 星に消えた子』
 怪奇実話作家の書いた『遊星人現わる』
 これが推理小説? 『淫神邪教事件』
 《星雲》生みの親の『秀吉になった男』
 日本だって革命が起こるぞ! 『赤い太陽』
 電力界ファンタジイ『電力の鬼』
 火星推進機はどこへ? 『バラモンの洞窟』ほか諸々
一九六〇年代
 ゲルマン神話+世界史+α=『落・奈落』
 地方出版のSF童話集『昆虫人間の朝』
 ベストセラー推理作家のSF『太陽と砂』&『おお21世紀』
 ノストラダムス作家のスパイSF『危機の数は13』
 後の直木賞作家のエロスパイ小説〈P07号〉シリーズ
 ホントに翻訳? ポルノSF『性にとらわれて』
 SFセミナー明けの大発見『エミトン』
 復刊はまず不可能? 『キチガイ同盟』
 森奈津子さん好み(?)のSMSF『不適応者の群れ』
 大ハズレな未来予測たっぷり『1980年の恋人』
 作者は実は×××と同一人物の『改造人間』
 しっかり時間SFしている金属啓蒙書『アルミニウム物語』
 マンジュウ本の幻想短篇集『出発してしまったA’』

 
1970年代以降の目次は引用を省略しましたが、どうです? ワクワクしてきませんか?(笑)しかし、目から鱗だったのは奇書・珍本は現在も出版されているということでしょうか。トンデモ本と言ってしまえばそれまでですが…しかし現在発掘されているそうした奇書・珍本は、出版当時はどういった人たちがどういった想いで読んでいたんでしょうね?非情に気になります。

ま、古書市や古書祭りに行けない、地方在住の極小資本しかもたない我々のような古本好きは、こういった本を読んで古書のロマンに浸るとしましょう♪

本日の引用元<http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488015244>

2014年11月28日金曜日

わしわしわし!

和紙が世界無形遺産に登録されました。 以下、NHKのwebsiteから引用します。

 世界各地の伝統文化や芸能を保護するユネスコ=国連教育科学文化機関は、日本の手すき和紙の技術が世代を超えて受け継がれ、地域社会のつながりを生んでいるとして無形文化遺産に登録することを決めました。
 ユネスコは26日、パリにある本部で委員会を開き、日本の手すき和紙の技術を無形文化遺産に登録するかどうか、審議を行いました。
 その結果、「地域でこうぞの栽培を進めたり、教育現場で手すきの体験活動を行ったりして、世代を超えて伝統的な知識や技術が受け継がれ、地域社会のつながりを生んでいる」として、日本時間27日午前3時前、無形文化遺産に登録することを決めました。
 

 登録が決まったのは、島根県の「石州半紙」、岐阜県の「本美濃紙」、埼玉県の「細川紙」で、いずれも「こうぞ」だけを原料に伝統的な手すきで作られています。
 このうち「石州半紙」は、5年前に無形文化遺産に登録されましたが、日本政府が和紙作りの技術をより強くアピールしようと、去年3つまとめて新たに提案していました。
登録を受けて、会見した文化庁の青柳正規長官は「これほど完璧に良い質の紙を作るのは、今では日本だけになっている」と述べて、3つまとめて登録された意義を強調しました。
 

 そのうえで、「良質の木の枠組みを作る職人が減るなど、伝統的な和紙を作るためのインフラが弱っている。保護していかないと、すばらしい技術を維持できなくなる」と述べ、伝統技術を守るために国も全面的に支援していく考えを示しました。
〈http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141127/k10013518381000.html〉

 さて、本と紙は切っても切れないものです。もっとも、書籍用紙と言うと不透明度の高い淡クリームとか淡イエローとかが中心です。私は仕事で淡クリームキンマリの90〜120kgを使っていましたが、今は諸般の事情でマットコート紙を使っています。

 和紙の本はおそらくほとんど市販されていません。しかも手漉き和紙の書籍と言うとかなり高価な特注品になるのではないでしょうか(笑)そんな和紙が、実は世界中で書籍に使われつつあります。とくにエジプトでは、和紙に大きな期待が寄せられています。
 実は、エジプトの古代パピルス文書の補強・修復には和紙が使われているのです。実際に、和紙による修復技術の習得にエジプトから研究者が京都に研修に来ているところです<和紙:技術をパピルス修復に エジプト人、京都で研修>
 エジプトに限らず、強靭でしなやかな和紙と化学薬品を使わない日本の糊(でんぷんのり・ふのり)は、世界各国の歴史的価値を持つ書籍や紙資料の補強・修復・補完の現場で使われているのです。

 紙は本という形だけでなく、様々な形で文化を育み、守っているんですね〜! 

漢じるフェスタ

 さて、漢字のまち 喜多方ではこの週末に「きたかた漢じるフェスタ・ミステリーウォーク」を開催します。高橋政巳先生は読書普及協会に縁の深い方ですし、読書普及協会チーム喜多方のメンバーも喜多方を漢字のまちにする会で頑張っているので、告知させていただきます!








以下、告知ページより
 午前の部は、市民向けミステリーウォークを行います(喜多方市民以外の参加もOKです。) 謎解きが好きなミステリーファン待望の難問コースの上級コース、地域の文化、歴史、環境を学びながら散策する大人向けコースの中級コース、小学3年生から高齢者まで楽しく街歩きができる入門コースの初級コースの3種類を用意しておりますので、皆様お気軽に参加ください。喜多方プラザへゴール後は、古代文字で書かれた自分の名前カードを探す、更なるミステリーが待ち構えています。(自分の名前カードはお持ち帰りいただけます。)
 午後の部は、漢じるフェスタを行います 樂篆工房主宰 髙橋政巳先生と、漢字に興味のある2名による、楽しいトークショーがあります。 なぜ、右と左は書き順が違うのか?など、漢字の面白さに、思わず「ホォー!」と感嘆すること間違いなしです。 このフェスタで、漢字の面白さと奥深さを知り、喜多方の新たな魅力に触れてみてください。

 以上です。詳細、申し込みはこちらからどうぞ!

漢字のまち 喜多方って、なに?という方はこちらをぽちっと♪


2014年11月27日木曜日

読書にすすめ!

若者は本を読まない? そうなんです。私自身も本を読まない大学生に何度も出会っています。 その度に「なんで本を読まないの?」と聞くと 返ってくる言葉は何を読んで良いのかわからないでした。 本屋に行けば、ネットにつなげば、いくらでも本はあります。 でも、どの本から読めば良いの? でも、どの本が良い本なの? でも、そもそもなんで本を読まなきゃならないの? そんな人たちのためにこのブログをはじめました。 曲がりなりにも「NPO法人読書普及協会」の会員であるワタシ。 読書を普及してまいりましょう! ここでは読書普及協会やその会員がかかわるイベントのほか、 読書関係の大小の催し、一箱古本市情報などなど あるいは美術館や博物館の特別展情報など 読書にとどまらない情報を提供していくつもりです。 少しずつですが、素敵に偏った(笑)本の紹介もしていきたいと思います。 ただし、ゆる〜く、ね(笑)